天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

竹の歌(3)

近所の竹林にて

 タケは気候が温暖で湿潤な地域に分布し、アジアの温帯・熱帯地域に多い。日本では東北に行くにつれ少なくなり、北海道では生育しない。ササは寒冷地にも自生する。北アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカの大部分には見られない。


  旱天に地下茎の生命枯るるとき夕べさむざむ竹の花咲く
                  五喜田正巳
  春香をふふめる風を孕むゆゑ琅玕は鳴る竹の林に
                  石田比呂志
  花咲けば亡びに向ふたかむらに人来り竹を風の日に伐る
                   大野誠
  太竹のゆるぎなきゆえ高穂先さやらさやらと風をあそばす
                   加藤克巳
  若竹の秀はみづみづと伸び立てりぬき出づることかくも
  自然(じねん)に         市橋千加子


  竹むらのそよぎさやけく霜に踏む道に時間の流れはやまず
                   久泉迪雄