天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蚊帳吊草

箱根湿性花園にて

 カヤツリグサ科の一年草で、日当りの好い草地に生える。茎を裂いて蚊帳の形を作って遊ぶ。近似種が多く、それらが混同されることも多い。


     行き暮れて蚊帳釣草にほたるかな   支考
     野に伏せば蚊屋つり草も頼むべし   一茶
     かたくなに一人遊ぶ子蚊帳吊草   富安風生
     淋しさの蚊帳吊草を割きにけり   富安風生
     筆塚にかしづく如し蚊帳吊草    笠原古畦
     島に来て蚊帳吊草の日暮かな    守山琴女


  白露の朝朝しげきくさむらに蚊帳吊草の穂がすいと立つ
                      岡 麓
  暑き日はこちたき草をいとほしみ蚊帳釣草を活けてみにけり
                     長塚 節
  高麗(かうらい)の白き小瓶(こがめ)にカヤツリの若き幾もと
  涼しく乱る             窪田章一郎