天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

花魁草(おいらんそう)

横浜市俣野別邸庭園にて

 北米原産のハナシノブ科の宿根草。フロックスという。寒さに強い。花の色には、淡紅、白、鮭肉色などがある。早春に開花するものと夏から秋に開花するものなど67種が知られている。日本では、花房の形が花かんざしに見えるところから、この名前がついたようだ。あるいは夾竹桃にも似ているので草夾竹桃(くさきょうちくとう)とも呼ばれる。


     揚羽蝶花魁草にぶら下がる      高野素十
     村貧しおいらん草の目につきて    清崎敏郎
     花魁草外人墓地に咲きいでし     岡本 眸


  夏草の深草のみだれはてしなしおいらん花は重たげに咲く
                       今井邦子
  出入りする庭に顧みてあはれみし去年に似たり花魁草は
                      佐藤佐太郎
  道ばたのおいらん草の種採るとしばしとどめつわが車椅子
                       宮 柊二
  家あとにおいらん草は咲き出でぬ仏間のありしところと
  おもひぬ                 穴沢芳江