天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

石の歌(3)

石仏(湯河原吉浜にて)

石材として、塔や仏に形を変える。エジプトのピラミッド、ローマやギリシャの大理石の彫刻など多岐にわたる。詩文では 石の擬人化もある。以下に短歌の例を。


  瞬時石割れ 内面匂う鮮しく 歪形なして褐色の紋
                    加藤克巳
  夕いたり石は抒情すほのかにもくれないおびて池の辺
  にある               加藤克巳


  石を洗うごしごし洗うたましいをごしごし洗う朝早く
  起き                加藤克巳


  眼をあけて末枯の野の石を見よいまかとび発つさまに
  光れる               杉原一司


  雄ごころやわれに流れて虹たつをむかし群盗のほろび
  たる石              馬場あき子


  真夏陽に磨かれてゆく石一つその中核の闇ぞ恋しき
                   佐佐木幸綱
  殺してもしづかに堪ふる石たちの中へ中へと赤蜻蛉
  (あかあきつ)ゆけ          水原紫苑