神社の境内に植えられている樹木は、庶民の祈願することに関係したものが多い。不老長寿ということでは、楠の大木・古木、夫婦円満・子宝といったことでは、夫婦杉や夫婦銀杏といった具合。それを実感したのが笠のぎ稲荷であった。
[諏訪神社]横浜市港北区綱島東
力石四つが置かれ竹の春
竹林の小暗きを背に力石四つ並べて由来書きたり
力石鳥居の脇に置かれたり卵立てたるごときが二つ
[熊野神社]横浜市港北区師岡町
正月の粥占ひや力石
いの池の蛙を聞くや力石
アカガシの木蔭に涼む力石
力石いづこと問へばいの池のほとりにあると巫女は答へき
いの池の由来書きたる札の下 名前刻める力石四つ
筒粥の神事の後に競ひけむ力石四ついの池の辺に
[笠のぎ稲荷]横浜市神奈川区
祝詞聞く夫婦和合の大銀杏
大楠の根の間(はざま)なる力石「子宝安産」の立札の下
力石探す笠のぎ稲荷には子宝を得し祝詞ひびかふ
本に載る写真と見合ふ力石石燈籠のそばに三つ四つ
[瀬戸神社]横浜市金沢区
秋風や栢(かや)の古木と力石
注連張れる栢(かや)の古木の根方には石碑とならび力石あり
カヤの木と共に年経る力石木は老ゆれども石は変はらず
所感:
秋晴れに復興願ふ力石
力自慢競ひし後に奉納の力石なれ名前刻める