天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

神奈川の力石11

笠のぎ稲荷にて

 神社の境内に植えられている樹木は、庶民の祈願することに関係したものが多い。不老長寿ということでは、楠の大木・古木、夫婦円満・子宝といったことでは、夫婦杉や夫婦銀杏といった具合。それを実感したのが笠のぎ稲荷であった。


諏訪神社横浜市港北区綱島
     力石四つが置かれ竹の春
  竹林の小暗きを背に力石四つ並べて由来書きたり
  力石鳥居の脇に置かれたり卵立てたるごときが二つ


熊野神社横浜市港北区師岡町
     正月の粥占ひや力石
     いの池の蛙を聞くや力石
     アカガシの木蔭に涼む力石
  力石いづこと問へばいの池のほとりにあると巫女は答へき
  いの池の由来書きたる札の下 名前刻める力石四つ
  筒粥の神事の後に競ひけむ力石四ついの池の辺に


[笠のぎ稲荷]横浜市神奈川区
     祝詞聞く夫婦和合の大銀杏
  大楠の根の間(はざま)なる力石「子宝安産」の立札の下
  力石探す笠のぎ稲荷には子宝を得し祝詞ひびかふ
  本に載る写真と見合ふ力石石燈籠のそばに三つ四つ


[瀬戸神社]横浜市金沢区
     秋風や栢(かや)の古木と力石
  注連張れる栢(かや)の古木の根方には石碑とならび力石あり
  カヤの木と共に年経る力石木は老ゆれども石は変はらず


所感:
     秋晴れに復興願ふ力石
  力自慢競ひし後に奉納の力石なれ名前刻める