日本の竪穴式住居では、採光用と排煙用の開口部があった。これには庇が設けられ、雨が吹き込まないようになっていた。日本家屋の技術が発達すると、障子のような紙を使った採光用の窓が利用されるようになる。
うつせみのわが息息(そくそく)を見むものは窗(まど)に
のぼれる蟷螂(かまきり)ひとつ 斎藤茂吉
よき月と
賞めて通れる人のあり、
よき月夜かと窓を見上ぐる 渡辺順三
遠く来てひとりめざむる朝はよし千島に向ふ窓あけはなつ
橋本徳寿
劇薬をはかりし秤(はかり)と硝子器と華麗なり八月の窓に
見しもの 真鍋美恵子
紫陽花のむらがる窓に重なりて大き地球儀の球は冷えゐつ
葛原妙子