天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

砂漠(3)

ナミブ砂漠(テレビ映像から)

 地球の砂漠化が進んでいる。植物の生育範囲がどんどん狭まっているのだ。熱帯雨林の過剰な伐採、家畜の過放牧、過剰な焼畑農業 などが原因で、いわゆる後進国が先進国並みの経済的繁栄を望むところから問題が発生する。一方で砂漠の緑化運動もあり、なんとか地球を水と森林の惑星として維持したいもの。


  日のくれに帰れる犬の身顫ひて遠き砂漠の砂撒き
  散らす              大西民子


  あまたなる形象を思ふなかんづく砂漠を静かに歩む
  象の仔              稲葉京子


  砂塵あげてまた一国を戦車占む聖戦といふ砂漠陽炎
                   神谷佳子
  飢ゑ逝くは多くをさな児草木を喰ひつくしたる砂漠
  まなかに             永平 緑


  殺戮ののちの砂漠のしづけさのやうなシーツを開く
  ましろに             大辻隆弘


  月光に青く照らされアラビアの砂漠は深く水を満たせり
                   大木あきら