多摩川紀行―御嶽
武蔵御嶽神社は、武蔵御岳山の山上に鎮座する。崇神天皇7年(紀元前91年)の創建で、天平8年(736年)に行基が蔵王権現を勧請したとされる。朱塗りの本殿は一間社神明造で明治10年に造営された。最後部には大口真神社が鎮座して、御嶽神社の眷属である狼を祀っている。後方の山上には日本武尊を祭る奥宮がある。
ちなみに大口真神において、「真神」は現在は絶滅してしまった日本狼を神格化した言い方であり、「大口の」は真神に懸る枕詞である。
奥多摩や山のはざまに霧のぼる
大口真神(おほくちのまかみ)と棲むか雪女
霧のぼる杉の木立を下に見て御嶽神社へ黄葉敷く道
ほむら立つ紅葉の谷を見下ろして山のぼり来し身を
休めたり
大口真神(おほくちのまかみ)祀れる社まで黄葉ちり敷く
石段のぼる
大口真神(おほくちのまかみ)祀れる社より谷のかなたの
奥宮を拝す
吊り橋の上より川を見下ろせばカヌーがひとつでんぐり返る
多摩川の岸辺の黄葉仰ぎ見て川井玉堂美術館に入る
絵と歌を巻物に書きあそびけり川井玉堂尾上柴舟
絵が先か歌が先かと案じ見る玉堂の筆柴舟の筆