天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

銀杏(2)

横浜市・俣野別邸庭園にて

 植物学上では、裸子植物イチョウイチョウイチョウイチョウ属に属する。身近によく見かける馴染み深い樹木なので、案外詳細なことを見逃している。例えば、現存する唯一のイチョウ綱であり、生きた化石としてレッドリストの滅危惧IB類に指定されていることとか。


  たえまなく散ると肩に乗るといちやうの黄葉は強(こは)き
  ものにありける             森岡貞香


  存続の願い叶わず今日ついに大きな公孫樹が伐り倒されぬ
                      大塚善子
  理科ドームへ銀杏並木は色づけり輪郭あはき光をなして
                      栗木京子
  我という銀杏やまとに散りぬるを別れた人からくるエア・
  メール                 俵 万智


  亡き友がみんな無邪気に黄に染まる銀杏並木のこの世の
  黄葉(もみじ)              三枝昴之


  うろこ雲 百歳越えて吾と妻が遊ぶ公孫樹の樹下あるごとし
                      三枝昴之
  丘の上の公孫樹かがやきかたわらに添うもののなき空の黄葉
                      三枝昴之