天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

銀杏(5)

藤沢市白旗にて

 木材としての特徴は、油分を含むも水はけがよく、材質均一で加工性に優れ、歪みが出にくい。それで構造材・造作材・建具・家具など広く利用されている。碁盤、将棋盤、まな板などでは高級材になる。また火に強い性質があるため、江戸時代には火除け地に多く植えられた。それが現在の街路樹にまで発展したのであろう。


  匂ひたる銀杏落葉もこなごなになりて冬日さす路上に乾く
                      山内照夫
  朴落葉は驢馬の臀(いしき)か公孫樹(いちよう)また飛天女の
  翔(はね)かと拾ひ陽に透かす       大滝貞一


  金色のちひさき鳥といふ比喩を踏みつけて歩(ゆ)く銀杏並木路
                      宮原望子
  鮮やかな公孫樹の葉を乗せ袋詰めの木炭届きぬ炉開き近く
                     細井みや子
  一本の銀杏が降らせる黄落の一年の量(かさ)誰も踏み入るな
                      浅野光一
  光りつつ神のことばの満ちて散る銀杏の樹下あたたかきかな
                   さいとうなおこ