天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

元旦御慶の歌

年賀状デザイン集より

 謹賀新年、今年は羊年。どうぞよろしくお願い致します。公事にも私事にもあらためて新年に向かう心構えをするもの。和歌の時代から延々と心象詠が詠まれているが、以下に近現代の歌をいくつかあげておく。新年になったといっても思うことは去年の続きだ、という醒めた歌もあるが、それらは除外しておく。前川佐美雄のような勇壮な歌を今後もっと期待したい。


  元日や長安に似る大道に遣羽子(やりはご)したる袖
  とらへけり             与謝野晶子


  何となく、今年はよい事あるごとし。元日の朝晴れて
  風なし                石川啄木


  まさ目には何も見えねどあらたまの年の祝詞(ことほぎ)
  言ひ居り母は             斎藤 史


  元日の闇まだふかき国はらを神の初火の幾千すぢ走る
                     前川佐美雄
  かすかなる祈事(ねぎごと)なれど我および我が良き人に
  今年幸あれ               野北和義


  何くはぬ顔して坐る元旦の慶も一尾の胎子(はららご)のまへ
                      安永蕗子