天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

多摩川の歌(1)

青梅御嶽の多摩川

 山梨、東京、神奈川を流れる一級河川で、あまり護岸化されていないせいか、川辺の野草や野鳥が数多く見られる。万葉集にも次の有名な一首がある。高度成長期に汚染が問題になったことがあったが、その後浄化が進み、鮎が釣れるようになり、たまに鮭の遡上も見られるまでになった。


  多摩川に曝(さら)す手作りさらさらに何そこの児のここだ
  愛(かな)しき            万葉集・東歌


  多摩川の砂にたんぽぽ咲くころはわれにもおもふ人のあれかし
                      若山牧水
  田を逃れ多摩川に来し白鷺ら病みては飛べず群を離れて
                     窪田章一郎
  多摩川の石うつくしと吾にみよとつめたき水を子はそそぎをり
                      坪野哲久
  しなやかに野を跳ぶ豹も見ず終るわれの一生か多摩川の辺に
                     佐佐木由幾