天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

嘴(くちばし)(1)

BSテレビ「グレートネーチャー」

 くちばしは、鳥類の採食器官だが、他にも毛づくろい、捕食対象の殺害、求愛行為、雛に餌を与える、など様々な用途がある。くちばしの形はその鳥の生活と深い繋がりがあり、それによってくちばしの形も様々な適応を示す。したがって、くちばしの形は鳥毎の大きな特徴になっている。


  餌を呑む一瞬空向く嘴の先より鴉は光をまとふ 
                    草柳依子
  キャンパスの枯れ芝に来て嘴太鴉(はしぶと)のわが屈託
  をしんねり見つむ          島田修三


  くちばしを羽根にをさむと哀楽のなき水禽(みづどり)の
  瞳(め)は瞑りたり         上田三四二


  まさびしきことなからむに羽毛ふかくくちばし埋めて鳥
  のねむるよ             穴澤芳江


  啼きながら天ゆくこゑは水草の香くちばしをいかにあけゐる
                    森岡貞香