天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ひいらぎ(続)

ひいらぎの花

 2011年2月18日にとり上げたものの続き。柊に良く似た植物にヒイラギナンテンがある。ヒイラギはモクセイ科の常緑小高木であるが、ヒイラギナンテンは、メギ科メギ属の常緑低木。


     柊の花にかぶせて茶巾干す    阿部みどり女
     柊の花のこぼるる幾夜かな      稲垣晩童
     稚児行列柊の花こぼしゆく     甲斐ゆき子
     月読の宮の柊匂ひけり       高繁泰治郎
     花柊野良着に小さき身八つ口     川島千枝


  しろじろと朝の斎庭にくゆりたつ柊は老いて刺をおとせり
                      春日井廣
  失いし人の数ほど花咲ぬ茶の花そしてひいらぎの花
                      三枝昴之
  からだの中の柊を見てゐるやうな君のまなざし 逢ひたいと言ふ
                      澤村斉美
  空(あ)き家(いへ)となりてひひらぎ咲きゐしが委(くは)しく
  知らむことを願はず
                      大西民子
  ひいらぎのつましき花さえ咲くかぎり秋十方の光りを集む
                     川口美根子


(注)右上の写真は、http://www.geocities.jp/ir5o_kjmt/kigi/hiiragi.htm
 から借用した。