タマムシ科の甲虫。幼虫はサクラ、エノキ、ケヤキ、カシなどの衰弱した木を食べ、三年ほどかけて成虫になる。古くから、厨子などの美術工芸品や装飾品に利用されてきた。法隆寺の玉虫の厨子は、羽を使用しており国宝として有名。
玉虫の羽白妙にならむ世を待つにひとしき心さびしさ
石榑千亦
玉虫の一つ光りて飛びゆけるその空ながめをんな寝そべる
北原白秋
玉虫をあまた集めき玉虫をなべて逃がしきこの白き手に
大西民子
わづかなる糞をのこして玉虫は輝きにつついまはうごかず
後藤直二
玉虫の羽をもて厨子を貼りし者の不穏のこころひと日
見えゐつ 稲葉京子