漢字で「李」と表記されるバラ科の落葉小高木。中国揚子江沿岸が原産地。花は白色で、果実は小形の桃に似ていて、酸っぱい。わが国には古くに渡来し、万葉集にも詠まれている。日本のすももには、甲州大巴旦杏、ビューティ、ソルダム、万左衛門、米桃などが代表的。西洋すももはプラムと呼ばれる。
わが園の李の花か庭に降るはだれのいまだ残りたるかも
万葉集・大伴家持
梅雨あけむ光のなかに身ぶるひをしつつ李を噛(かじ)る
幼な子 木俣 修
雪折れの枝さながらに花咲きてあはれと思ふ梨も李も
石川不二子
鳥が食ひ虫が食ひ雨にくさり落つるあまりの李が人間
のもの 石川不二子
巴(は)旦(たん)杏(きよう)噛(か)む夕つかた預言者の
かなしみのごと空燃えてゐる 辺見じゅん