天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

伝馬町牢屋敷跡

十思公園にて

 吉田松陰ゆかりの地を訪ねているが、今回は小伝馬町の十思公園に行った。この地域に江戸期の伝馬町牢屋敷があった(慶長年間から明治8年まで270年にわたって数十万人の囚人を収容したという)。安政の大獄吉田松陰はじめあまたの尊王攘夷志士が処刑になった処刑場跡でもある。公園はまことに簡素で、吉田松陰の石碑、銅の時の鐘、伝馬町牢屋敷跡出土石垣、杵屋勝三郎歴代記念碑などが周囲に置かれてあるだけ。公園の横には、処刑場を供養する大安楽寺地蔵尊がある。また「伝馬町牢屋敷処刑場跡」の碑も立っている。なお牢屋敷廃止後、この地はしばらく買い手がつかなかったという。後に跡地は「十思小学校」、「十思公園」、「大安楽寺」等になった。


  伝馬町牢屋敷跡にあふぎ見る処刑の時を告げし銅鐘
  伝馬町牢の揚屋に聞きにけむ処刑の時を告ぐる鐘の音
  梅雨晴れの木蔭に暗く湿りたり吉田松陰終焉之地碑
  萩の石はこび来りて建てしとふ吉田松陰終焉之地碑
  伝馬町の牢を囲みし石垣の石ならべたり発掘跡に
  松陰の斬首の場所に立ちたまふ地蔵を拝む大安楽寺
  伝馬町牢屋敷跡の輪郭をなぞりて歩く炎天の道


右上の画像は、松陰の良く知られた辞世の歌碑(留魂碑)で、次のように彫られている。

   身ハたとひ武蔵の野辺に
   朽ぬとも留置まし大和魂