天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

焼鳥

わが身辺から

 鳥肉を一口大に切ったものを、玉ねぎやピーマンなどの野菜とともに串に数個刺し通し、調味しつつ炭火やガス火で直火焼きにする。豚の肉や内臓を用いることも。奈良・平安時代には、野鳥は狩猟で食用にしたが、鶏は忌まれたという。「串打ち三年、焼き一生」という言い伝えがあり、焼く技術は難しいとされる。


  目黒の行人坂下(ぎやうにんさかした)の焼鳥屋二月の
  闇に灯をふかしをり         宗 不旱


  豚の舌も咽喉(のど)骨も肝臓も串に刺しこころ荒ぶる
  日の昏れぐれを           坪野哲久


  北天の凍(いて)渡り来て射たれたる野の鳥の肝(きも)蒼き
  を食ふ               斎藤 史


  舗装路のかたへににほふ焼鳥は東京を出でてよりか喰はず
                    山本友一