天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

名月(2)

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 満月は引力が最も強くなり、海では満潮になる。人体は、約70%が水でできているので、満月の影響が出るようだ。例えば、満月のときは出産が多くなる。また出血が多くなるので、手術はひかえるという話も。


  生死のけじめはないよなんとなく猫いて大き満月が出る
                    岡部桂一郎
  人去りてのちのしづけき月の面(おも)や満月となりて照り
  わたるなり             上田三四二


  束ねゐる髪の根ふつと緩びたり古鏡のやうな月せり上がり
                   蒔田さくら子
  大いなる闇の空虚にあるゆゑにわが身重のごとき月はも
                   うちだてるこ
  まつぶさに眺めてかなし月こそは全(また)き裸身と思ひ
  いたりぬ               水原紫苑


  骨の髄味わうためのフォークありぐっと突き刺してみたき満月
                     俵 万智
  満月は薄荷の匂いサングラスはずしてごらん確かに匂う
                     小守有里