道のうた(2)
大化改新の詔で制定された「七道駅路」が、わが国に国道が作られる端緒であった。すなわち東海道・東山道・北陸道・山陰道・山陽道・南海道・西海道である。これらは官道であり、現代の2車線〜4車線幅の堂々たる道だった。
かりそめの行きかひ路(ぢ)とぞ思ひ来し今は限りの門出
なりけり 古今集・在原滋春
春の野に若菜つまむとこしものを散りかふ花に道はまどひぬ
古今集・紀 貫之
我が宿は道もなきまであれにけりつれなき人を待つとせしまに
古今集・遍昭
つひに行く道とはかねて聞きしかど昨日けふとは思はざりしを
古今集・在原業平
世に経れば憂さこそまされみ吉野の岩のかけ道踏みならしてむ
古今集・よみ人しらず
恋しくは来ても見よかしちはやぶる神のいさむる道ならなくに
伊勢物語
嵯峨の山みゆきたえにし芹川の千代の古る道跡はありけり
後撰集・在原行平
道しらでやみやはしなぬ逢坂の関のあなたはうみといふなり
後撰集・下野
ゆふやみは道もみえねど故郷はもとこし駒にまかせてぞくる
後撰集・読人しらず
世をわかれ入りなむ道はおくるともおなじところを君も尋ねよ
源氏物語