天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鴨とアオサギ

藤沢・新林公園にて

 久しぶりに藤沢・新林公園の里山を歩いてきた。ふたつある溜池のうち、手前の浅い方にはいつもは見かけない大きなアオサギが一羽佇んでいた。起伏の激しい尾根道は、運動不足解消にはちょうどよい。ところどころで紅葉が始まっていた。


     池の面に立ちてはばたく鴨の秋
     どんぐりや媼と孫のはなしごゑ
     里山のくぼ地にむれて鳥兜
     プラタナス遊行寺坂の秋を知る


  はるかには冠雪の富士まぢかには欅いろづく公園の朝
  池の面に鴨たちあがり羽ばたけり静かにあゆむ一羽アオサギ
  いくたびも水面に嘴つつ込めど魚のとれざる一羽アオサギ
  池の面に餌とりそこねたるアオサギを苛立たせたり鴨の水浴び
  里山にどんぐりひろふ祖母と孫「お菓子忘れた」「あら、残念ね」
  天空に航跡ひとつ里山の木の間をもるる百鳥のこゑ
  毒もつと知ればいよいよ美しき青紫のとりかぶと咲く
  里山の尾根をつたへば麓なる冒険広場の子供らの声
  里山のアップダウンを歩き終へ「エナジージム」とふドリンクを買ふ
  草刈も墓まゐりもせず放置せり山の奥なる祖先の墓は


[注]日本では古くから、白でも黒でもない中間色を青と呼んでいた。
   従って、白鷺に対して青鷺もいて、奈良時代にはすでに見られたという。
   なお、少ないながら黒鷺もいる。