天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

酒の歌(5)

わが食卓から

 日本酒の原料となる米は、酒造好適米もしくは醸造用玄米と呼ばれ、特有の品質が求められ、食用米や一般米とは区別される。代表的な酒造好適米には、山田錦、五百万石、美山錦、雄町、八反、吟風、ゆめさんさ、夢の香 などがある。なお、安価な酒の原料に使われる一般米もあることに注意要。


  酒などを断ちつつをればやうやくにうちのほむらも
  消えんとぞする          佐藤佐太郎


  暗き灯の下に酒飲むとり入れを終へて肉厚くなりし
  てのひら              板宮清治


  夜を徹し飲みたる明けは一人帰る燠の如くにともる
  灯を見て              大島史洋


  興二郎(こうじろ)に酒を沸かしてやれやとふこゑさへ
  すでに衰へましぬ         小野興二郎


  酒飲めば細魚(さより)刺身を食ふて尚やよひ土筆を
  食ひたきこころ           小中英之


  生きていれば蟹美酒(うまざけ)を頒ち合い秋の夜長の
  灯(ともしび)なるを         福島泰樹


  薔薇色の骨に注ぎぬ美酒すこし黒鳥館に春の雪降れ
                    福島泰樹
  愛しきは星と稲妻、なやましく丼に酒あふれせしめよ
                    福島泰樹