天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

くぬぎ(続1)

大磯湘南平にて

 2008年1月10日に少し書いているが、今回はもっと多くの歌をあげる。なお、漢字の表記には、檪、椚、椡、橡、栩、椢、椪 など様々ある。


  たかせさすさほの河原のくぬぎ原色づくみれば秋のくれかも
                      藤原家良
  春きてもは山がすそのくぬぎ原まだ冬がれの色ぞのこれる
                      藤原光俊
  足たたば蝦夷の栗原くぬぎ原アイノが友と熊殺さましを
                      正岡子規
  くぬぎ葉のもみぢ素枯(すが)るる空さむし山の鴉の疾(はや)く
  し飛ぶも                島木赤彦


  ふる雨に音するばかりこの山の檪若葉はひらきけるかも
                      島木赤彦
  百舌の啼くこゑも聞えて片岡の檪の林日は斜なり
                      落合直文