天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

船の歌(3/10)

熊野川下り(webから)

 その昔、熊野三山熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社を巡拝する人々は熊野本宮大社に詣でた後、川舟で新宮、那智をめざした。2005年9月、 「川の参詣道」熊野川の川舟下りが復活した。(熊野川川舟センターHPから)
「にほの海」は、鳰の海と書き、琵琶湖の異称である。


  熊野河せぎりに渡す杉舟のへなみに袖の濡れにけるかな
              続古今集後嵯峨天皇
  にほの海や霞のをちにこぐ舟のまほにも春のけしきなるかな
              新勅撰集・式子内親王
  物としてはかりがたしなよわき水におもき舟しもうかぶと
  思へば           風雅集・京極為兼


  あはぢ島せと行く船の追風にちりくる花や跡のしらなみ
                李花集・宗良親王
  人のよは誰もおもへば水の上に浮きてはかなき宇治の柴舟
                      元政
  湊人のいつての舟は早きかも漕ぎそけてゆく沖の夕立
                    上田秋成
  えみし船いまし寄り来よ歳の矢のたねつきぬまに射て
  ましものを             和田厳足