天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

船の歌(5/10)

伊良湖崎の伊勢湾フェリー(webから)

 岬(みさき)は、丘・山などの先端部が平地・海・湖などへ突き出したところである。半島や島の最先端部に多い。
 樺太丸(旧名:「ヤコバ船」)は、日本海軍(兵部省所管)の運輸船。

 

  紫の葡萄を搬ぶ舟にして夜を風説のごとく発ちゆく
                    安永蕗子
  藪つばきうしほに沁みて空ありきひしひしと船の
  あつまる朝(あした)        山中智恵子


  冬の岬漕ぎたむ舟にくだちゆくぶあつき闇に貌つつまれぬ
                    前登志夫
  連絡船樺太丸があらはれて気色(けしき)岬(みさき)より
  まなこそらさず           橋本徳寿


  ゆく水の満ちひろがりも夕なぎて渡船(とせん)を閉づる
  鐘の音聞こゆ           大熊長次郎


  水筒の水つめかえて船待てば船は恋ほしくひがしより来る
                    山本友一