天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

なめくじ

NHK−BS「沖縄 生命息づく不思議の森

 ナメクジ科の軟体動物。昼間は陰湿な場所にひそみ、夜間に活動する。草食性で野菜を食べるので害を及ぼす。台所や風呂場でみかけるコウラナメクジ、山地に棲むヤマナメクジなどの種類がある。雌雄同体。寿命は一年という。漢字の表記は、蛞蝓。夏の季語。


     ひろしまの夜をなめくぢ光るなり
                 野田 誠
     蛞蝓の跡あきらかに遊女墓
                相川やす志



  わが庭の草むらふかしなめくぢもひきもまむし
  も相住ひつつ          橋本徳寿


  ふる家の石さへおこし売るとせば念仏のこゑは
  なめくぢ等より        前川佐美雄


  なめくぢのしきり涌く日本の家にゐて土乾きゆく大陸をおもふ
                       宮 柊二
  唾湧きてみつむる昼や生れ来し醜さ知れとなめくぢ動く
                      前 登志夫
  卵塊とおぼしきものをいだきあひ蛞蝓二匹恍惚とゐる
                       後藤直
  蛞蝓の這いたるみれば「輝かしい確かな足跡」とはこんなもの
                       沖ななも
  大いなるなめくじとして棲むわれの首を掻くべし天の利鎌よ
                      阿木津 英