天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

凧揚げ(1/2)

横浜市東俣野町にて

 今年の五月三日もわが住む東俣野町の境川縁で大凧が揚げられていた。(参考:本ブログの2009-05-11「大凧の空」)
 凧の起源は中国にあり、紀元前4世紀に魯班や墨翟が軍事用に作ったとされる。日本では、平安時代中期(938年成立)の『和名類聚抄』には凧に関する記述が出てくる(「紙鳶」)。伝統的な和凧は竹の骨組みに和紙を張ったもの。長方形の角凧の他、六角形の六角凧、やっこが手を広げたような形をしている奴凧など、地方によりさまざまな和凧がある。



  所在なく居りし二階の窓際を子等のやさしき凧が
  とほりぬ             片山新一郎


  没り際の陽に狂ひ舞ふ凧見えてほのかにわれは帰路
  を惑へり              米満英男


  いかのぼり絶えなば絶えねなかぞらの父ひきしぼる
  春のすさのを           山中智恵子


  あがらねばひたに走りし子も憐れその凧今朝は木に
  在る哀れ              若山旅人


  真剣に凧揚げている人のあり天と何かを話しいるごとし
                    小塩卓哉
  豆凧の尾は吉野紙紐は絹辻よぎりゆく風にも揚がる
                    石本隆一