天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

民主主義

産経新聞から

 イギリスが国民投票の結果、EUから離脱することが決まった。このプロセスを見るにつけ、下の清水房雄の歌が身に沁みる。離脱派と残留派とが6%程度の僅差しかないのに、多数決という理由で、いずれかに決めてしまう暴挙に唖然とした。叡知の国と思っていたが、現代のイギリス国民は、理性を失ったのであろう。どこが危ないか? 多数決の真実を、キャメロン首相や国民が本当に理解していたとは思えない。僅差であっても多数決に従うことが、誰にでもできるであろうか? 事案にもよるが、国・国民を二分して内乱・殺し合いを引き起こすことになる。


  民主主義を守るたたかいは明治よりいまにつづきて常に
  血の犠牲ありき            渡辺順三


  民主政治が衆愚政治に崩落する表徴として凝視せむのみ
                     清水房雄


 民主主義が、単純に多数決によって物事を決めることだとしたら、それは必然的に分裂と紛争をもたらす幼稚で危険な思想ということになる。我々人類は、もっと智慧を働かせ、妥協して合意点を見つける必死な努力をしなければならない。一方、EU政府の運営は、あまりに狭量で縛りがきついのではないか。
イギリスでは、またぞろ国民投票のやり直しを、という運動がおきているが、絶望してしまう。