天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

島さるすべり

横浜市俣野別邸庭園にて

 近所の俣野別邸庭園を午後四時過ぎに散策した。夏の夕陽がぎらぎら輝いて暑い。咲き残っている白い紫陽花を見かけるのみで、夏の花は少ない。ただ、山百合がぽつぽつと咲き始めている。
木立の中に背の高い白サルスベリを見つけた。幹に括られているプレートには、シマサルスベリと書いてあった。Webで調べると、次のような解説があった。
 シマサルスベリとはミソハギ科の植物の一種。沖縄、中国、台湾に分布する落葉高木で最大20mくらいになる。花期は6〜8月頃で白い花を咲かせる。樹皮は同属のサルスベリほどではないものの滑らかで、はげ落ちやすい。
 桔梗の花もハマナスの実も朽ちる時期にきていた。帰途につくと、姿を見せることなく轟音を引いて戦闘機が夕陽の空を横切っていった。


     山百合が白き貌だす木立かな
     日の暮れて人待ちがほの鹿の子百合
     鳴きやみて蝉飛び去りぬ夕木立
     肌赤き島さるすべり白き花
     木洩れ陽は夕陽となりぬ夏木立
     戦闘機夏夕空を揺るがせて


  いきものは生れて咲きて散るものといまに身にしむ
  ひぐらしのこゑ


  夏空に轟音を曳く戦闘機夕陽まぶしき雲に隠れて