天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雲のうた(9)

尾流雲

 今回は大伴家持の雲の入った歌を集めてみた。大伴家持は、天平18年(746年)6月に越中守に任ぜられ、天平勝宝3年(751年)まで赴任(5年間)。この間に223首の歌を詠んだとされる。
以下にあげる作品がこの内のものかどうか調べていないが、赴任先で詠んだと感じられるものもある。


  ま幸(さき)くと言ひてしものを白雲に立ちたなびくと聞けば
  悲しも              大伴家持万葉集


  この見ゆる雲ほびこりてとの曇り雨も降らぬか心足(だ)らひに
                   大伴家持万葉集
  つばめ来る時になりぬとかりがねは本郷(くに)思ひつつ雲隠
  (くもがく)り鳴く         大伴家持万葉集


  み空行く雲も使(つかひ)と人は言へど家づと遣(や)らむたづき
  知らずも             大伴家持万葉集


  雨晴れて清く照りたるこの月夜またさらにして雲なたなびき
                   大伴家持万葉集


[注]右上の画像は、web「雲の種類と名前」 http://asukainfo.com/kumo
   から借用した。