天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雲のうた(21)

雲の峰(横浜市東俣野の空)

 雲の種類は、国際気象会議で10種類と決められている。短歌や俳句にでてくるわが国における俗称と共に、以下に列挙しておく。
出典は、Web「雲の名前を覚えよう」
   http://www.nahaken-okn.ed.jp/naha-c/kumo/kumo.htm
による。


□上層雲(5000m〜13000m)
  巻雲    すじ雲
  巻積雲   うろこ雲、さば雲、いわし雲
  巻層雲   うす雲
□中層雲(2000m〜7000m)
  高積雲   ひつじ雲
  高層雲   おぼろ雲
  乱層雲   雨雲
□下層雲(地表付近〜2000m)
  層積雲   くもり雲
  層雲    きり雲
  積雲    わた雲
  積乱雲   雷雲、入道雲


 以降は近現代の短歌について、季節ごとの雲のうたをみて行こう。初めに夏の雲から。積乱雲に代表されるが、俗称には、鉄床雲、入道雲、峰雲、雲の峰、雷雲、茸雲 など。


  坂の上に湧く夏雲のいちじろく、息衝きておもふ。
  歌死なずあれ            岡野弘彦


  すきとほる記憶の地平かの夏を黒く灼けたる茸雲立つ
                    島田修二
  迫りつつ飽くまで黒き雷雲に木槿は閉ぢて淡きむらさき
                    高安国世
  懐(ふところ)の深き梅雨ぐも天界の無碍のひかりを
  蔵(しま)ひて太る          西村 尚


  雲の峰まさしく戦後遠けれど母惚けて空襲の日のみ記憶す
                   馬場あき子
  夏空を飛ぶ雲の群激しけれど目には淋しき急ぎと見ゆる
                   佐佐木幸綱


 島田修二は、江田島海軍兵学校在学中に、広島で原爆を目撃した。その記憶を詠っている。