今回は青雲について。青みを帯びた灰色の雲あるいは青空を指す。「青雲の」は「出づ、出でこ」にかかる枕詞ともなる。一首目はなんとも愉快な歌である。枕詞がうまくはまっている。
汝(な)が母に嘖(こ)られ吾は行く青雲のいで来(こ)我妹子
(わぎもこ)相見て行かむ 作者未詳『万葉集』
伊夜彦(いやひこ)おのれ神さび青雲の棚引く日すら小雨
そほ降る 作者未詳『万葉集』
二十年の夢よりさめて見あぐれば富士の根高し青雲の上に
佐佐木信綱
蒼雲のそぐへを見れば立ち渡る春はまどかにいや遙かなり
長塚 節
青雲ゆ雉子鳴き出づる 大倭(ヤマト)べは、思ひ悲しも。
青ぐもの色 釈 迢空