天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

白鳥の歌(9/9)

黒鳥の雛鳥は白い?!

 「白鳥」は、冬の季語。傍題には、スワン、鵠(くぐひ)、大白鳥、黒鳥 など。日本の地名に白鳥とつく場所はいくつかある。鈴木鷹夫の句にある「白鳥」は、上野から汽車でゆくところなので、東北地方にあるはず。候補地として、岩手県二戸市白鳥、栃木県小山市白鳥、 岩手県奥州市前沢区白鳥舘、 山形県村山市白鳥 などがある。だが、駅名に白鳥とつく場所が見当たらない。岐阜県には美濃白鳥駅があるのだが。とするとこの句の白鳥は、白鳥の飛来する場所の比喩であろう。


     白鳥をあたたかく見る焚火して   平畑静塔
     白鳥の声のなかなる入日かな    桂 信子
     恋白鳥つらら垂る胸反らしけり  鷲谷七菜子
     上野発白鳥ゆきのきつぷかな    鈴木鷹夫
     白鳥へねんねこの子を傾ける    奈良文夫


  肌の内に白鳥を飼うこの人は押さえられしかしおりおり羽ぶく
                     佐佐木幸綱
  みずみずしき白鳥は来て吾が書架に佇みていし夏の夕暮
                      上野久雄
  白鳥は博多那珂川柳橋橋桁ひくくくぐりて飛ぶも
                     石田比呂志


[注]右上の画像は、webの「黒鳥の画像検索」から借用した。