天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

定家卿を訪ふ(7/7)

冷泉家門前にて

 冷泉家は、藤原定家の孫にあたる冷泉為相(為家の子)から始まる。冷泉という家名は平安京の冷泉小路からきている。この孫の代に、御子左家から二条家、京極家、冷泉家の三家が分れた。このうち二条家、京極家は室町時代には断絶していた。冷泉家は上と下の二家に分れて現在に至っている。


  時雨亭跡訪ふ山にしぐれきて歌を選びし定家しのばゆ
  小倉山時雨亭には朗々と歌詠むこゑの春のゆふぐれ
  後鳥羽院の怨みつらみを鎮めむと定家の選りし百人一首
  幾たびか住まひを換へて八十年病みがちながら定家生きたり
  今出川御門の向かひ左手に白壁長き冷泉の家
  冷泉の屋敷どうにか残りたり東京遷都に従はざりし
  霜月の公開の日を過ぎたれば堅く閉ざせる冷泉の門
  御所近く葬られたれば安からむ藤原定家の墓に手合はす