天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紅葉の鎌倉―化粧坂

化粧坂にて

 今年の紅葉狩りも終り。ということで念の為に源氏山に行くことにした。その前に銭洗弁財天に寄って千円札と硬貨を笊に入れて洗った。そこから坂を登った源氏山周辺の紅葉は大方散って、頼朝像が寒々と座って見えた。ただ、化粧坂を覗くとまだ残っている紅葉がなだれて見事であった。
 ちなみに化粧坂は、鎌倉の北西から武蔵方面に抜ける「鎌倉往還上ノ道」(武蔵路)の出入り口に当る。新田義貞の鎌倉攻めでも戦場になった。周辺の発掘調査で多数の火葬跡が発見されていて、この辺りは交通の要衝であると共に葬送の地でもあったことが分る。


     銭洗ふ弁財天の年の暮
     弁財天師走の水に銭洗ふ
     かけ上がるもみぢの木立化粧坂
     もみぢ燃ゆ水に濡れたる化粧坂
     差し交す紅葉の木立化粧坂
     赤や黄のもみぢなだるる化粧坂


  銭洗弁財天は湧く水の上之水神下之水神
  笊に入れ手笏の水に洗ひけり千円札と五百円玉
  頼朝の視線たどれば紅葉の散りにし木立鎌倉の街