蝙蝠(1/2)
翼手目の総称で哺乳類中唯一の飛行動物。蚊などをよく食べるので蚊喰鳥とも呼ばれる。古くは「かわほり」と言った。初夏から晩秋にかけて活動。
語源として有力な説は、「皮」が「張る」形の翼をもつところか「カワホリ」に転じたというもの。
人もなく鳥のなからむ島にてはこのかはほりも君もたづねむ
和泉式部
かはほりのとびかふ影も静まりて月になりゆく花のうへかな
木下幸文
夕風や煤(すす)のやうなる生きもののかはほり飛べる東大寺かな
与謝野晶子
蝙蝠(かうもり)に似むとわらへばわが暗きかほの蝙蝠に見ゆる夕ぐれ
若山牧水
大川の上潮(あげしほ)ながれ早くなりて蝙蝠飛べり水のうへ低く
山口茂吉
いまさらに何をあたふた晩春の闇脱けいづる百の蝙蝠(かはほり)
安永蕗子