天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

星のうた(2/12)

オメガ白鳥星雲

 和歌では星と螢の取合せがいくつも詠まれている。以下では藤原良経と在原業平の例がある。ちなみに古典和歌では、星よりも月がはるかに多く詠まれているようだ。(「二十一代集データベース」で比べてみた調査があり、月は星の70倍以上だったという。)


  沢水に空なる星のうつるかと見ゆるは夜半のほたるなりけり
                  藤原良経『後拾遺集
  くもりなき星の光をあふきてもあやまたぬ身を猶そうたかふ 
                  藤原良経『新勅撰集』
  数ふれば空なる星もしるものをなにをつらさの数にとらまし
                  藤原長能『後拾遺集
  五月やみさやまの峰にともす火は雲の絶間の星かとぞ見る
                   藤原顕季『千載集』
  晴るる夜の星か河辺の螢かもわが住むかたの蜑(あま)のたく火か
                  在原業平新古今集
  明けわたる雲間の星のひかりまで山の端さむし峰の白雪
                  藤原家隆『新勅撰集』


[注]右上の画像は、web「天体写真の世界」
     http://ryutao.main.jp/my_large.html
   から。