天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

星のうた(5/12)

おうし座

 最初の歌の「ふかしぎの星」が、分るようで分らない。三首目の「或る星」とは、何を指すのであろう。ただこのふたつの作品の裏に、哀しい事情があることが感じられる。最後の歌の下の句は、あまりにメルヘンチック。


  この子供に絵を描くを禁ぜよ大き紙にただふかしぎの星
  を描くゆゑ              葛原妙子


  曙の星を言葉にさしかえて唱(うた)うも今日をかぎり
  とやせむ               岡井 隆


  或る星をみつむる思ひ足病みて童仲間に紛らひゆかぬ子
                     島田修二
  行き逢ふに星の擦るる音のあればよし一人のわれにひとり
  の我れが               浜田 到 

 
  星覗くべくはずされし眼鏡なれどその球面を流れしひかり
                     永田和宏
  夜の耳にしづかにひびくわらはべの星の馬車牽くつぶやきの声
                     榎 幸子


[注]右上の画像は、web「天体写真の世界」
     http://ryutao.main.jp/my_large.html
   から。