天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

星のうた(11/12)

火星(webから)

 今回は太陽系の惑星である火星、木星を詠んだ歌をとり上げる。最初の塚本の歌の「熒惑星(けいこくせい)」は、火星の異名で、和名のもっとも古いもの。聖徳太子の説話を扱った『扶桑略記』,『聖徳太子伝暦』にでてくるという。


  熒惑星(けいこくせい)を水に隕とせし誰がうたぞわれより
  こゑ清きほととぎす          塚本邦雄


  久々の出逢ひなるべし満月に寄り添ふ如く火星は冴ゆる
                     平井軍治
  火星炎えゐる夜となりたりわれは未知の女のやうに髪
  洗ひ立つ               雨宮雅子


  窓に木星かすかに光る服ぬぎて背の銃痕たちまち寒し
                     浜田 到
  木星の真下に君の家ありと螢橋越えて漕ぎし自転車
                     大崎瀬都