天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

天空のうた(5)

あけぼのの空(webから)

 四首目の歌枕「末の松山」については、過去に何度か言及したが、多賀城駅から歩いて10分ほどのところにある。古くは、古今和歌集の東歌「君をおきてあだし心をわがもたばすゑの松山浪もこえなむ」に出て来るが、その後も「後撰和歌集」 「拾遺和歌集」「金葉和歌集」 「千載和歌集」 「新古今和歌集」などに多く詠まれた。


  春の夜の夢の浮橋とだえして峰に別るる横雲の空
                  藤原定家新古今集
  誰住みてあはれ知るらむ山里の雨降りすさむ夕暮の空
                    西行新古今集
  今はとてたのむの雁もうちわびぬおぼろ月夜のあけぼのの空
                    寂連『新古今集
  霞立つ末の松山ほのぼのと波にはなるる横雲の空
                  藤原家隆新古今集
  おほかたの秋の空だに侘びしきに物思ひそふる君にもあるかな
                     右近『後撰集
  あさみどり霞める空のけしきにや常盤の山は春を知るらむ
                  藤原公教母『金葉集』
  ほととぎすほのめく声をいづ方と聞きまどはしつあけぼののそら
                  中納言女王『金葉集』