西行の歌は、他の情景歌と比べると心情が濃くにじむ。西行の特徴がよく出ている。末尾は神祇歌。よって三笠の山に榊葉を挿し始めたのは神である。
雲にうつる日影の色もうすくなりぬ花の光の夕ばえの空
藤原為顕『玉葉集』
野も山もひとつにしらむ雪の色にうす雲くらきあさあけの空
藤原実兼『風雅集』
つねよりも心細くぞ思ほゆる旅の空にて年の暮るれば
西行『山家集』
ながむればかすめる空の浮雲とひとつになりぬ帰るかりがね
藤原良経『千載和歌集』
天つ空ひとつに見ゆる越の海の波を分けても帰るかりがね
源 頼政『千載和歌集』
あめのしたのどけかれとや榊葉を三笠の山にさしはじめけん
藤原清輔『千載和歌集』