天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蟾蜍(ひきがえる)(2/3)

webから

 日本に棲むヒキガエルには、アジアヒキガエルニホンヒキガエル、ナガレヒキガエル外来種のオオヒキガエルの1属4種があるという。世界的に見れば、50属約590種というから驚く。
 今年も啓蟄になった。蛇や蛙が地上に現れる。


  谷ぐくを久しく聞かず雨ふかき夜に起きいでてこゑ
  真似てみぬ              成瀬 有


  道の幅渡りえざりし大蝦蟇はその量感を天空にさらす
                     佐藤通雅
  ことなくていま暮れかかる二月(きさらぎ)の夕(ゆふべ)は
  ぬるし蟇いでにけり          斎藤茂吉


  子が放つ三匹の蝦蟇三方に這いてゆく背の泥まみれなり
                     毛利文平
  いまはまだ落葉のうへを歩みゐるねむりに入らむ大き雌蟇
                     森岡貞香
  ゆふぐれに薔薇の落葉を踏み歩く僕(しもべ)のごとき蟇を
  あやしむな              森岡貞香


  わが庭に去年(こぞ)は棲めりし大き蟇ことしは来ずて夏
  すぎむとす              岡野弘彦