天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

伊豆高原&城ケ崎

城ケ崎にて

 今回の伊豆高原の桜狩りは大失敗であった。天気予報、一か月前の宿の予約、人混みを避ける という3点から計画を立てるというやり方が当らなかったのだ。なんと肝心の桜開花が遅れていたのである。結局は伊豆高原駅から城ケ崎までバスに乗り、海岸沿いに歩いて門脇埼灯台を見上げ吊り橋を渡った。
 城ケ崎海岸には、星野哲郎の歌碑として、「雨の城ケ崎」と「城ケ崎ブルース」の2基が立っている。星野哲郎は2010年11月に85歳で亡くなった。
「雨の城ケ崎」
     元気出せよと抱きしめる
     あなたの向こうに大島が
     かすかに浮かぶ門脇岬 
     泣くだけ泣けば晴れるのね
     このまま一生相合傘で
     ぬれてゆきたい雨の城ヶ崎

「城ケ崎ブルース」三番目の歌詞
     愛してくれた 小指の爪を
     そっとかたみに つつんでいれた
     ハンカチ白い 城ケ崎
     あなたが帰る 遠笠山が
     涙にかすむ 夜のはて

但し、この碑には「ハンカチ」はそのまま、あとは全部ひらがなにして楽譜と共に描かれている。
 かんぽの宿に入って部屋付きの露天風呂からゆったり伊豆の海を眺めた、ということで今回の旅は終った。


     花見にと来し伊豆高原霙降る
     咲き初めし花も悴むみぞれかな
     城ケ崎春の潮のこゑを聞く
     雨去りて虹立ち上がる伊豆の海


  ひた走る電車の窓に眺めたり朝日まぶしき春の雪山
  咲き初めし花まばらなり伊豆高原桜並木の駅前通
  花見にと伊豆高原を訪ねしが桜並木のつぼみは固し
  花まだき桜並木を見てくれば空家の庭に咲く紫木蓮
  城ケ崎吊り橋までの道ゆけば林に出逢ふ山桜花
  城ケ崎ブルースの歌碑風化せず今にのこりてわが影映す
  岩壁の上に佇みつや歌のイメージ描く星野哲郎
  吊り橋に立ちて見下ろす岩壁に春のうしほは打ち寄せて鳴る
  伊豆高原かんぽの宿を探しつつ坂道のぼり草臥れ果てつ
  部屋付きの露天風呂からながむれば消えゆくごとし八丈島
  つぼみなる桜並木の悔しけれかんぽの宿に一夜明かしぬ