天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

山下清さん(2/8)

学園から出かける

 山下清さんは、大正11年3月に東京浅草で生まれた。3歳の時、重い病気を患い、言語障害・知的障害に遭う。父・清治は、清が10歳の時に死去。12歳で千葉県の養護施設「八幡学園」に入園する。ここで絵の才能が開花し、独自の貼絵技法を始める。ところが18歳の時、突如、八幡学園から逃げ出し、風呂敷包みをもって放浪しはじめる。なによりも自由を好んだ。ただ、生活して行くために、あちらこちらで住み込みで働いた。そしてたまに母の家に帰った。


  人に見える仕事をしたい 山下は遊んでゐると言はれないやう      
  「山下と話するのは面白い、まんざいみたいだ」だんなさんが言ふ 
  柏まで歩いて酒を買ひに行く往復四時間きのうふもけふも 
  今日は晴れ「よその田んぼとまちがへて田植するな」とおかみさんが言ふ
  住み込みのところ変はればそのたびに取りに行くんだ移動証明 
  馬小屋の掃除ははだし びしよびしよに濡れて臭くて気持が悪い 
  おとなりへもらひ湯に行くすすめられ番がくるまで炬燵で待つた 
  おばさんが雑巾がけをした時にずろーすをはいてゐないと知つた