天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

現代俳句の笑いー折句

かきつばた

 折句とは、和歌や俳句で,各句の上に物名などを一文字ずつおいたもの。
有名な例では、
  ら衣つつなれにしましあればるばるきぬる
  びをしぞ思ふ            在原業平


には「かきつばた」が折込まれている。次の和歌には「をみなへし(女郎花)」が折り込まれている。
  小倉山峰立ちならし鳴く鹿の経にけむ秋を知る人ぞなき
                  紀貫之古今集


五七五各句に折込む三字折,七七の2句に折込む二字折など多くの種類がある。俳句の場合を二例、次にあげる。なお芭蕉の場合は、彼が意識して作ったわけでなく偶然であった。

     古池や蛙飛び込む水の音      芭蕉 「ふかみ=深み」
     夕立や田をみめぐりの神ならば   其角 「ゆたか=豊か」


 次の川崎展宏の俳句には、周防(すはう)が折込まれている。

     涼しさは晴間見えたる有為の山   
     (すずしさははれまみえたるういの山)