天空のうた(7)
(2017年02月21日のブログからの続き。)
次の一首目の「天飛ぶや」は、「鳥」、「雁」また地名「軽(かる)」にかかる枕詞。西行の歌には、旅先のそこここに庵を編んで暮らした自身の気持がよく現れている。定家の「たく柴のしばしと見れば」は縁語用法というか駄洒落である。為顕の歌の情景は、なんとも幽玄華麗。
天飛ぶや雁を使に得てしかも奈良の都に言告げ遣らむ
遣新羅使『万葉集』
草枕われのみならず雁がねもたびの空にぞなき渡るなる
大中臣能宣『拾遺集』
暁の別れの道をおもはずは暮れ行く空はうれしからまし
よみ人しらず『拾遺集』
誰住みてあはれ知るらむ山里の雨降りすさむ夕暮の空
西行『新古今集』
山がつの朝けの小屋にたく柴のしばしと見れば暮るる空かな
藤原定家『拾遺愚草』
雲にうつる日影の色もうすくなりぬ花の光の夕ばえの空
藤原為顕『玉葉集』