栗鼠(続)
(2009年1月23日の補足。)
齧葉目リス科の哺乳類の総称。日本には従来、ホンドリス、エジリス、エゾシマリス、ムササビ、エゾモモンガ、ニホンモノンガなどが棲息するが、近年は台湾から移入された台湾栗鼠が野生化、特に都会に近い里山で増殖して日本の固有種を駆逐している。
鼯鼠(むささび)は木末(こぬれ)求むとあしひきの山の
猟夫(さつを)に会ひにけるかも
万葉集・志貴皇子
栗の木にのぼれる栗鼠のゆり落す栗を拾へり妻は笑みつつ
窪田空穂
籠の空をくるりくるりと宙返り栗鼠の早業目にもとまらぬ
宇都野 研
わが部屋を窺ふがにもむささびの紅き眼光る軒の木の梢に
川田 順
実を喰べて栗鼠がこぼせる松毬(かさ)の青き剝片(へぎへら)
渋ふきにけり 吉植庄亮
心みだれて妻と行きにし彼の谿の雪にあそべる栗鼠を忘れず
黒沼友一
椎茸の榾木(ほだぎ)に積もる春の雪散らせ素早く栗鼠走りたり
東 長二
一首目は、思わせぶりな内容であるが、「高い地位を望んで敵の術中に落ちた大津皇子に対する風刺が込められている」という説もある。