天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

橋のうた(1/6)

倉橋川(桜井市百市)

 一首目の「橋立の」は「倉」を導く枕詞。歌の意味は、私が若いときに渡ったあの倉橋川の石の橋はどうなっただろう、という。右の画像は、奈良新聞
http://www.nara-np.co.jp/graph/gra011125_scene.html から借用した。


  橋立の倉橋川の石(いは)の橋はも男盛(をざかり)に
  わが渡りてし石の橋はも   万葉集柿本人麻呂歌集


  天の川棚橋わたせ織女(たなばた)のい渡らさむに棚橋わたせ
                   万葉集・作者未詳
  小墾田(をはりだ)の板田の橋の壊(こぼ)れなば桁より行かむ
  な恋ひそ吾妹(わぎも)       万葉集・作者未詳


  筑紫よりここまでくれど苞(つと)もなしたちのをがはの
  はしのみぞある          拾遺集在原業平


  わかれ路は渡せるはしもなきものをいかでか常に恋ひわたるべき
                 拾遺集・源 順
  我が恋は細谷川の丸木橋ふみかへされて濡るる袖かな
               平家物語・平 通盛
  大井河はるかにみゆる橋の上に行く人すこし雨の夕ぐれ
                風雅集・藤原為兼
  渡りかね雲も夕(ゆうべ)をなほたどる跡なき雪の峯のかけはし
                  草根集・正徹