天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

「白雲」第44号

「白雲」第44号

 「白雲」は文芸同人誌で、この朱夏号で創刊22周年になる。編集人代表は、岡本高司さんで、山田みづゑ主催「木語」時代の俳句の先輩である。私は「白雲」のメンバーではないが、年2回の発行のたびに同誌を貰って、気ままな感想をさし上げている。
 「白雲」には、詩、短歌、俳句、紀行、随筆、小説 などが掲載されている。今回は俳句につき、惹かれた作品を以下のようにあげてみた。


     にぎやかに村を出てゆく雪解水     辻 江文
     潮風にひがな吹かれて麦青む
     単線の長き停車や雲の峰        畑井由美
     初めから居ずまひ崩し夏座敷
     寝返りをうちても断てぬ秋思かな
     相槌に大小ありし日向ぼこ
     引越しす水鉄砲を乱射して       細川朱雀
     白雲のいつか朱を帯び原爆忌
     その恋は時効や木瓜の帰り花     高崎登喜子
     電線に音符となりて囀れり      大阿久雅子
     花筵足の長さをもて余し        西村 翠
     海棠のつぶやくやうに風に揺れ     三木雅舟
     ロボットに挨拶さるる社会鍋     岡本多可志
     初夢や宇宙船内俳句会
     寒鯉の深きをつつく泥煙
     膝送りして待つ茶席梅まつり
     弾薬庫へ埋もるるレール草青む
     桃咲きて農夫一人の昼餉かな


[参考]文芸同人誌「白雲」については、2012年1月3日のブログ
     鑑賞の文学 ―俳句篇(22)―  でもご紹介している。