天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

コミック短歌(2/12)

岩波文庫

歌芯について
短歌の核心のことである。次のような要素から成り立っている。
?五七五七七の韻律、?抒情性(措辞、歌語、歌枕)、?伝統的技法(枕詞、序詞、掛詞、本歌取りなど)
これらの芯が稀薄になるあるいは変容する現象を歌芯熔融あるいは液状化と呼びたい。ここでは特に本論の分析の中心となる?を確認しておく。
短歌は五句三十一音の韻文定型詩であり、五句は各々五七五七七の音数より成ることを大原則とする。句割れ・句跨り、字余り・字不足といった概念も、すべてこの原則との対比において議論される。
文語にせよ口語にせよ短歌韻律の崩れは、散文、自由詩に容易に移行する。そもそも破調は、一首を短歌の黄金律五七五七七に当て嵌める観点から出て来た概念である。即ち、短歌における破調とは、一義的には、「五七五七七」の「五句三十一音の音数律」という短歌定型の基本(正調)に対して、音数に増減のあるもの、としておく。二義的には、三十一音の音数のみが守られ、五句の音数律をとらないものも考慮に入れる。
語割れについて注意すべきは、語幹内部を切ることを許してはならない、ということ。それまで許すと、語の形・意味が失われ、増音減音も無意味になるからである。つまり、単なる字数・音数のみの操作になり、初句の一字目から順に機械的に五音、七音と切ってゆき、結句だけでの増音か減音かになるからである。